無所属の東村山市議会議員・佐藤まさたかです。市議としての活動、考え、こぼれ話、余談、雑感…。実感ある発信を続けていきたいと思っています。
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私の以前のブログに読者の方から寄せられたコメントをめぐって、矢野穂積・朝木直子両市議に一昨年11月に名誉棄損で訴えられた裁判の判決が、一昨日(29日)に東京地裁立川支部407号法廷で言い渡されました。

「主文
原告らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。」

市川正巳裁判長の声が響きわたりました。

これまで心配してくださり、エールを送ってくださった皆さん、どうもありがとうございました。
これまでの数多の例を見る限り、彼らは負けようがなんだろうが3審(最高裁)までやり続けるようですし、そうすることで人々の記憶から薄れていくことを狙っているかのようです。
残念ながらまだまだ終わりは見えませんが、ひと区切りついたことは間違いありません。
本当にありがとうございました。

それでは39ページに及ぶ判決文のうち、主文が書かれている1ページ目と、裁判所の判断が示されている26ページ以降について、画像と文章を掲載いたします。

尚、請願を提出した市民の方と、当時紹介議員になった薄井さんと私が、同じく矢野・朝木両市議から名誉棄損で訴えられた通称「請願つぶし裁判」は、最高裁が彼らの上告を受理しないことを正式決定したため、彼らの敗訴が確定いたしました。あわせて、ご支援、ご心配いただいた皆々様にお礼申し上げます。

では、私が被告の裁判、判決書です。
判決文1ページ目

27ページ 第3 当裁判所の判断

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第3 当裁判所の判断
1 争点(1)ア(被告ブログ掲示板へのプロバイダ責任制限法の適用の有無)について
 (1) プロバイダ責任制限法2条3号にいう特定電気通信役務提供者とは、特定電気通信設備を設置又は所有している者である必要はなく、特定電気通信設備を他人の通信のように使用させていれば足りると解される。
 (2) 争いのない事実等(2)によれば、被告は特定電気通信役務提供者に当たるから、原告らは、本件たまこ投稿及び本件メープル投稿について、本件ブログ掲示板の開設者である被告に対し、名誉毀損による損害賠償を求めるためには、プロバイダ責任制限法の要件の該当性を主張しなければならない。
 (3) 原告らは、(a)当該情報の送信を防止するための措置を採り、かつ、(b)発信者情報を開示する対応を採ることができることが、プロバイダ責任制限法が適用されるために必要である旨主張する。
 しかし、特定電気通信役務提供者であるために、これらの対応を採ることができることが要件であると解することはできない(「…という対応をとることが可能な場合があるため…」(乙1の5頁14行参照))。
 仮に、これらの対応を採ることが要件であると解しても、被告ブログ掲示板においても、本件ペガサス投稿におけるように投稿を削除する方法により、上記(a)の送信防止措置を採ることができると認められるし、IPアドレスの開示(争いのない事実等(2)ウ)により、上記(b)の発信者情報の開示をすることができる。
 したがって、原告のこの点の主張は、採用することができない。

2 争点(1)イ(本件ペガサス修正投稿へのプロバイダ責任制限法の適用の有無)について
 (1) 本件ペガサス修正投稿は、被告が「ペガサス」とのハンドルネームを使用する者の投稿を修正した上、被告の名で被告ブログ掲示板に掲載したものであるが(争いのない事実等(3)エ(ア))、弁論の全趣旨によれば、被告がそのような修正をしたのは、本件ペガサス投稿中に存在した差別的用語の部分(「一読しただけで」に続く部分)を削除するためであったことが認められる。
 (2) 被告が差別的用語の部分を削除するために、本件ペガサス修正投稿の形にした旨を淡々と説明しただけであれば、本件ペガサス修正投稿をもって、プロバイダ責任制限法3条1項ただし書(「当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合」)には当たらないと解することに困難はない。
 本件では、被告が「お気持ちはわかりすぎるほどわかるつもりです。」と付け加えた点が、本件ペガサス修正投稿をプロバイダ責任制限法3条1項ただし書に該当させる可能性を生じさせる。しかし、本件ペガサス修正投稿全体を一般の読者の普通の注意と読み方により読めば、「お気持ちはわかりすぎるほどわかるつもりです。」との部分は、飽くまで削除した差別的用語の部分について述べているものであり、サイコパスを追加した部分について述べたものとは受けとめられないものと認められる。
 (3) したがって、本件ペガサス修正投稿は、本件ペガサス投稿の差別的用語の部分を削除するためにそのような形態を採ったものであり、プロバイダ責任制限法3条1項の適用上、被告ブログ掲示板の管理者である被告が発信者となる場合には当たらないというべきである。

3 争点(3)(プロバイダ責任制限法3条1項の要件充足の有無)について
 (1) 本件たまこ投稿
 ア 本件たまこ投稿(争いのない事実等(3)イ)は、原告らがパーソナリティ障害等の障害を有するとの事実を表明するものと認められる。
 イ この点につき、被告は、原告らの人間像につき、中傷的に投稿者の意見を述べているにすぎない旨主張する。
 確かに、パーソナリティ障害は、「基本的には病気でなく障害である」「個々人の持っている「性格と呼ばれる特徴」が先鋭化し(たもの)」「人格障害は一種の「性格」であるとも言える」(争いのない事実等(7)ア)と捉えられていることからすると、性格を論評することとパーソナリティ障害等であることを指摘することとの間には、さほど差がないのではないかとも考えられるが、パーソナリティ障害は、精神病ではないとはいえ、精神医学で取り扱われ、治療の対象となっているものであるから(同(7)ア)、その指摘が名誉毀損となるか否かの観点からは、やはり病気の一種であり、その指摘は事実の表明と認めるべきである。
 (2) 本件メープル投稿
 本件メープル投稿は、本件たまこ投稿のパーソナリティ障害等との指摘に同意し、さらに、「草の根の人たちは、病気なんです。」と付言しているが(争いのない事実等(3)ウ)、上記(1)で説示した精神医学におけるパーソナリティ障害等の取扱いを考慮すると、上記「病気」の付加は、原告らが病気の一種であるパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明したものと認めるべきである。
 (3) 本件ペガサス修正投稿
 本件ペガサス修正投稿は、本件たまこ投稿のパーソナリティ障害等との指摘に同意し、さらに、「たまこさんが挙げておられる心理学上の分類に「サイコパス」も追加させてください。」と付言しているが(争いのない事実等(3)エ)、サイコパスが人格障害とほぼ同義と解されていること(同(7)オ)からすると、本件たまこ投稿と同様に、原告らがパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明するものと認められる。
 (4) プロバイダ責任制限法3条1項1号又は2号該当性
 ア(ア) 原告らは、本件3投稿は、投稿内容自体から、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを「知っていたとき」(同法3条1項1号)又は「知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき」(同項2号)に該当する旨主張する。
 (イ)しかしながら、プロバイダ責任制限法3条1項の適用に当たっては、名誉毀損における真実性及び相当性についても、損害賠償の請求者において、当該特定電気通信役務提供者が真実性及び相当性が存在しないことを知っていたか(1号)、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があること(2号)を立証する必要があると解される(したがって、投稿者自身は、真実性又は相当性の立証ができないために敗訴する場合でも、特定電気通信役務提供者は同法3条1項1号又は2号の要件を満たさないとして勝訴することは、当然あり得る。)。
 被告ブログ掲示板の管理者である被告につき、同法3条1項1号又は2号に該当する事由があったと認めることはできない。かえって、後記イ~オに説示するとおり、原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があったものであるから、被告が本件3投稿を削除した平成21年11月20日までに(争いのない事実等(5))、同法3条1項1号又は2号の要件が満たされたものと認めることは、到底できない。
 イ(ア)証拠(乙25~33)及び弁論の全趣旨によれば、原告らは、次のとおり、東村山市民新聞、東村山市民新聞インターネット版及び多摩レイクサイドFM等で、被告及び薄井議員や他の同僚議員等の批判を繰り返し行ってきたことが認められる。
〔1〕東村山市民新聞No84 1997年6月(乙25)
 「飛んで火に入る夏の虫?」「『真犯人の指紋のついたTシャツのビニールカバーを保管もしないで、なぜ物的証拠もなしに朝木議員をTシャツ万引きの犯人扱いしたの』と指摘した本紙を女洋品店店主が提訴。本人尋問ができ、逆に手間省け。」
〔2〕東村山新聞No118 2001年2月(乙26)
 「…95年7月16日夜に、暴漢に襲われて前歯をおるなどの重傷を負った事件で…創価より裁判官はこの事実をわざと無視。」
 「『この人ほんとに議員?』」「…公明党所属の山川昌子市議。…質問に立って、いきなり『常勤特別職は何人いるのか?』と発言した。…これを知らなかった山川市議は、何と六年目の市議だ。」
〔3〕東村山新聞No148 2006年9月(乙27)
 「…佐藤真和・東村山市議に公選法違反の疑惑が発覚した。…二五日、市民オンブズマンが日野市の自宅前で次娘と一緒に買い物を終え、レジ袋を両手に提げた佐藤『市議』を直撃、本人に確認したところ『週に半分は東村山に行っている』と事実を認めた。」
〔4〕東村山新聞No152 2006年10月(乙28)
 「他市の行政に口出しするまえに、公選法の違反の責任とって辞職を」「『出稼ぎ』市議の無責任ぶり」
〔5〕東村山新聞No153 2006年12月(乙29)
 「地方議員は選挙区内で生活していなければ詐偽登録罪で失職なのです。」「公選法違反容疑の佐藤市議、進退極まる!」
〔6〕東村山新聞No154 2007年1月(乙30)
 「…佐藤市議、自分の公選法違反容疑…が深まっている中、市長そして与党・公明との関係という新たな疑惑が噴出した格好だ。」
〔7〕東村山市民新聞No155 2007年2月(乙31)
 「佐藤まさたか『市議』に、一般市民から痛烈な批判」「『佐藤さん、ウソをついてはいけません』」
〔8〕東村山市民新聞No165 2010年6月(乙32)
 「市議の任期開始後も、ネット上に超セクハラ満載の動画に実名で登場」「『薄井(市議)はエロキャスター』裁判所も断定!」「現市長支持の『セクハラ市議』をかばった現市長、またも汚点」
〔9〕多摩レイクサイドFM 2006年12月6日放送(乙33)
 「佐藤真和市議が、えー、公選法違反となることを知りながらですね、えー、あえて、えー、日野市に住んでいるにもかかわらず、生活しているにもかかわらず、家族4人の生活があったにもかかわらず、えー、日野市じゃなくて、えー、東村山市からですね、の市議会議員に立候補したという、まさに公選法違反そのものにあたると思いますが…早く辞職することを潔い態度をとることをおすすめしたいと思います。」
 (イ)原告らが、昭和63年12月から平成22年7月までの間において、争点(2)の被告の主張エ(イ)〔1〕~〔20〕のとおり、同僚議員、その支持者、裁判官、I事件の被告、T事件の原告等を批判していることは、原告らにおいて明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。
 これらの批判にどの程度根拠があったかについては、後記ウで検討する一部を除き、本件訴訟では十分な証拠が提出されていないが、その批判に当たり使用された文言及び回数については、例えば「ピーマン議員」「アホキピーマン」「心身症」「失語症」「ハエ男」「足の長さが足りなくて」「常軌を超える偏執」「偏執症?!」のように、口汚く(一部は、差別的でさえある。)、激烈であり、執拗であるとの批判が当てはまるものである。
 ウ(ア)原告らが当事者となった訴訟事件で、同被告の主張エ(ウ)a~dの判決(手を結ぶ市民のニュース事件第一審判決、超党派でつくる新聞事件第一審判決、I事件第一審判決、T事件控訴審判決)がされ、それらの判決は確定したことは、当事者間に争いがない。
 (イ)これらの判決の中で、手を結ぶ市民のニュース事件第一審判決は、「原告矢野は物事を自分本位に解釈する、また、自分の憶測を理屈づけるとの論評及び本訴記事4の一人の異常と思える人間との論評の前提となる事実は相応の根拠があるということができる。」「原告矢野は訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行するとの論評の前提となる事実は相応の根拠がある」「そして、パラノイアに関する論評は、上記各論評を前提にしたものであることからすると、表現自体はやや穏当さを欠くものであるが、当該論評の前提たる事実もまた相応の根拠があると認められる。」と判示した。
 エ(ア)他方、同原告らの主張エ(エ)の判決(第1次月刊タイムス事件第一審判決、第1次月刊タイムス事件控訴審判決、東村山の闇事件控訴審判決)がされ、それらの判決は確定したことは、当事者間に争いがない。
 (イ)第1次月刊タイムス事件第一審判決は、I事件第一審判決が指摘するとおり、原告矢野が証拠による裏付けがいささか弱いような事案であるにもかかわらず、訴えを提起したことがあったことは認めたが、昭和50年以降、数十件もの損害賠償請求や住民監査請求の訴えを提起し、勝訴したものもあることを認定し、結局、原告矢野がさしたる法律的根拠もなく民事訴訟を提起する人物であるとの事実は認められないと判断した。
 (ウ)a 第1次月刊タイムス事件控訴審判決は、原告矢野がさしたる根拠もなく訴訟を提起する人物であると信じたことに相当の理由があったか否かを検討し、〔1〕当該事件における被告が挙げるI事件、〔2〕超党派でつくる新聞事件における被告の尋問結果、〔3〕T事件におけるTに対する原告矢野の言動についての原告Tの本人尋問結果は、いずれも平成10年から12年にかけて行われたものであり、問題となった雑誌が出版された平成8年よりも後であるから、当該事件の被告らの相当性判断の基礎とはなり得ないと判断した。
 b しかし、平成19年にされた本件3投稿を問題とする本件訴訟においては、上記3つの根拠は、相当性判断の根拠として使用できるものである。
 (エ)a 東村山の闇事件控訴審判決は、明代死亡事件について、原告らがその著作物でした本件各記述中にはやや過激な表現も含まれているが、その内容はあくまでそれなりの根拠を示して警察及び捜査の責任者であった千葉副署長の捜査や広報のあり方を批判するというものであったのであるから、これが人身攻撃に当たり、意見ないし論評の域を逸脱したものとは認められないというべきであるとして、原告らに対する請求を棄却した。
 b 原告らは、東村山の闇事件控訴審判決はT事件控訴審判決の判旨を否定している旨主張するが、「控訴人ら(注・原告ら)において、本件窃盗被疑事件について明代が犯人でないことをうかがわせる証拠があると信ずるについて相当の理由がないとはいえない」として、警察の捜査や広報のあり方についての批判が名誉毀損にならないこと(東村山の闇事件控訴審判決)から直ちに、私人である「被控訴人(注・T)が創価学会や公明党と共謀の上、本件万引き事件をねつ造して故明代を罪に陥れようとしたとの事実」を「真実と信ずるについて相当の理由があった」ことにはならないものであるから(T事件控訴審判決)、上記原告らの主張は理由がない。
 オ(ア)意見ないし論評を表明する自由が民主主義社会において不可欠な表現の自由の根幹を構成するものであり、不法行為法上違法とならないことと、不法行為法上は違法ではない意見を表明した者が公選の公務員としてふさわしいか否かを判断するために、そのような意見表明がどの程度の根拠を有してされたか、その際の表現方法が過激なものかについて論評することは、別問題である。
 (イ)a この観点から上記イ~エの事実を検討すると、原告らの言動及び行動には、監査請求等による成果など馴れ合いに陥りがちな地方自治体の運営に市民の視点から活を入れるものがあったと評価できるものがあるが(前記エ(イ)及び甲9の1・2)、I事件の提訴、Tに対する攻撃など根拠が不十分なままされたものも混在していたものである。公選の公務員としての適格性を有するか否かを判断するに当たっては、不当な訴訟上の請求の存在は、それが多くの訴訟上の請求の全部ではない場合であっても、当然批判の対象となるものである。
 b また、他者に対する批判につき正当な根拠を有する場合であったとしても、表現方法における口汚さ、過激さ及び執拗さは、公選の公務員としての適格性を判断するに当たって当然考慮されるべき事項であるが、原告らには、表現方法の点で、厳しい批判を受けてもやむをえない点があったものである。


4 差止請求について
 争いのない事実等(5)のとおり、被告は、被告ブログ掲示板から本件3投稿を削除したが、この削除が本件訴訟が係属したため一時的にされたものであり、本件訴訟の結果次第では再び掲載されるおそれがあるとの事情も認められないから、本件3投稿の削除(送信防止)を求める原告らの請求は、この観点からも理由がない。

5 結論
 以上によれば、原告らの請求は、いずれも理由がないから棄却することし、主文のとおり判決する。



東京地方裁判所立川支部民事第3部
裁判官 市川正巳
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27ページ 第3 当裁判所の判断

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第3 当裁判所の判断
1 争点(1)ア(被告ブログ掲示板へのプロバイダ責任制限法の適用の有無)について
 (1) プロバイダ責任制限法2条3号にいう特定電気通信役務提供者とは、特定電気通信設備を設置又は所有している者である必要はなく、特定電気通信設備を他人の通信のように使用させていれば足りると解される。
 (2) 争いのない事実等(2)によれば、被告は特定電気通信役務提供者に当たるから、原告らは、本件たまこ投稿及び本件メープル投稿について、本件ブログ掲示板の開設者である被告に対し、名誉毀損による損害賠償を求めるためには、プロバイダ責任制限法の要件の該当性を主張しなければならない。
 (3) 原告らは、(a)当該情報の送信を防止するための措置を採り、かつ、(b)発信者情報を開示する対応を採ることができることが、プロバイダ責任制限法が適用されるために必要である旨主張する。
 しかし、特定電気通信役務提供者であるために、これらの対応を採ることができることが要件であると解することはできない(「…という対応をとることが可能な場合があるため…」(乙1の5頁14行参照))。
 仮に、これらの対応を採ることが要件であると解しても、被告ブログ掲示板においても、本件ペガサス投稿におけるように投稿を削除する方法により、上記(a)の送信防止措置を採ることができると認められるし、IPアドレスの開示(争いのない事実等(2)ウ)により、上記(b)の発信者情報の開示をすることができる。
 したがって、原告のこの点の主張は、採用することができない。

2 争点(1)イ(本件ペガサス修正投稿へのプロバイダ責任制限法の適用の有無)について
 (1) 本件ペガサス修正投稿は、被告が「ペガサス」とのハンドルネームを使用する者の投稿を修正した上、被告の名で被告ブログ掲示板に掲載したものであるが(争いのない事実等(3)エ(ア))、弁論の全趣旨によれば、被告がそのような修正をしたのは、本件ペガサス投稿中に存在した差別的用語の部分(「一読しただけで」に続く部分)を削除するためであったことが認められる。
 (2) 被告が差別的用語の部分を削除するために、本件ペガサス修正投稿の形にした旨を淡々と説明しただけであれば、本件ペガサス修正投稿をもって、プロバイダ責任制限法3条1項ただし書(「当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合」)には当たらないと解することに困難はない。
 本件では、被告が「お気持ちはわかりすぎるほどわかるつもりです。」と付け加えた点が、本件ペガサス修正投稿をプロバイダ責任制限法3条1項ただし書に該当させる可能性を生じさせる。しかし、本件ペガサス修正投稿全体を一般の読者の普通の注意と読み方により読めば、「お気持ちはわかりすぎるほどわかるつもりです。」との部分は、飽くまで削除した差別的用語の部分について述べているものであり、サイコパスを追加した部分について述べたものとは受けとめられないものと認められる。
 (3) したがって、本件ペガサス修正投稿は、本件ペガサス投稿の差別的用語の部分を削除するためにそのような形態を採ったものであり、プロバイダ責任制限法3条1項の適用上、被告ブログ掲示板の管理者である被告が発信者となる場合には当たらないというべきである。

3 争点(3)(プロバイダ責任制限法3条1項の要件充足の有無)について
 (1) 本件たまこ投稿
 ア 本件たまこ投稿(争いのない事実等(3)イ)は、原告らがパーソナリティ障害等の障害を有するとの事実を表明するものと認められる。
 イ この点につき、被告は、原告らの人間像につき、中傷的に投稿者の意見を述べているにすぎない旨主張する。
 確かに、パーソナリティ障害は、「基本的には病気でなく障害である」「個々人の持っている「性格と呼ばれる特徴」が先鋭化し(たもの)」「人格障害は一種の「性格」であるとも言える」(争いのない事実等(7)ア)と捉えられていることからすると、性格を論評することとパーソナリティ障害等であることを指摘することとの間には、さほど差がないのではないかとも考えられるが、パーソナリティ障害は、精神病ではないとはいえ、精神医学で取り扱われ、治療の対象となっているものであるから(同(7)ア)、その指摘が名誉毀損となるか否かの観点からは、やはり病気の一種であり、その指摘は事実の表明と認めるべきである。
 (2) 本件メープル投稿
 本件メープル投稿は、本件たまこ投稿のパーソナリティ障害等との指摘に同意し、さらに、「草の根の人たちは、病気なんです。」と付言しているが(争いのない事実等(3)ウ)、上記(1)で説示した精神医学におけるパーソナリティ障害等の取扱いを考慮すると、上記「病気」の付加は、原告らが病気の一種であるパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明したものと認めるべきである。
 (3) 本件ペガサス修正投稿
 本件ペガサス修正投稿は、本件たまこ投稿のパーソナリティ障害等との指摘に同意し、さらに、「たまこさんが挙げておられる心理学上の分類に「サイコパス」も追加させてください。」と付言しているが(争いのない事実等(3)エ)、サイコパスが人格障害とほぼ同義と解されていること(同(7)オ)からすると、本件たまこ投稿と同様に、原告らがパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明するものと認められる。
 (4) プロバイダ責任制限法3条1項1号又は2号該当性
 ア(ア) 原告らは、本件3投稿は、投稿内容自体から、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを「知っていたとき」(同法3条1項1号)又は「知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき」(同項2号)に該当する旨主張する。
 (イ)しかしながら、プロバイダ責任制限法3条1項の適用に当たっては、名誉毀損における真実性及び相当性についても、損害賠償の請求者において、当該特定電気通信役務提供者が真実性及び相当性が存在しないことを知っていたか(1号)、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があること(2号)を立証する必要があると解される(したがって、投稿者自身は、真実性又は相当性の立証ができないために敗訴する場合でも、特定電気通信役務提供者は同法3条1項1号又は2号の要件を満たさないとして勝訴することは、当然あり得る。)。
 被告ブログ掲示板の管理者である被告につき、同法3条1項1号又は2号に該当する事由があったと認めることはできない。かえって、後記イ~オに説示するとおり、原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があったものであるから、被告が本件3投稿を削除した平成21年11月20日までに(争いのない事実等(5))、同法3条1項1号又は2号の要件が満たされたものと認めることは、到底できない。
 イ(ア)証拠(乙25~33)及び弁論の全趣旨によれば、原告らは、次のとおり、東村山市民新聞、東村山市民新聞インターネット版及び多摩レイクサイドFM等で、被告及び薄井議員や他の同僚議員等の批判を繰り返し行ってきたことが認められる。
〔1〕東村山市民新聞No84 1997年6月(乙25)
 「飛んで火に入る夏の虫?」「『真犯人の指紋のついたTシャツのビニールカバーを保管もしないで、なぜ物的証拠もなしに朝木議員をTシャツ万引きの犯人扱いしたの』と指摘した本紙を女洋品店店主が提訴。本人尋問ができ、逆に手間省け。」
〔2〕東村山新聞No118 2001年2月(乙26)
 「…95年7月16日夜に、暴漢に襲われて前歯をおるなどの重傷を負った事件で…創価より裁判官はこの事実をわざと無視。」
 「『この人ほんとに議員?』」「…公明党所属の山川昌子市議。…質問に立って、いきなり『常勤特別職は何人いるのか?』と発言した。…これを知らなかった山川市議は、何と六年目の市議だ。」
〔3〕東村山新聞No148 2006年9月(乙27)
 「…佐藤真和・東村山市議に公選法違反の疑惑が発覚した。…二五日、市民オンブズマンが日野市の自宅前で次娘と一緒に買い物を終え、レジ袋を両手に提げた佐藤『市議』を直撃、本人に確認したところ『週に半分は東村山に行っている』と事実を認めた。」
〔4〕東村山新聞No152 2006年10月(乙28)
 「他市の行政に口出しするまえに、公選法の違反の責任とって辞職を」「『出稼ぎ』市議の無責任ぶり」
〔5〕東村山新聞No153 2006年12月(乙29)
 「地方議員は選挙区内で生活していなければ詐偽登録罪で失職なのです。」「公選法違反容疑の佐藤市議、進退極まる!」
〔6〕東村山新聞No154 2007年1月(乙30)
 「…佐藤市議、自分の公選法違反容疑…が深まっている中、市長そして与党・公明との関係という新たな疑惑が噴出した格好だ。」
〔7〕東村山市民新聞No155 2007年2月(乙31)
 「佐藤まさたか『市議』に、一般市民から痛烈な批判」「『佐藤さん、ウソをついてはいけません』」
〔8〕東村山市民新聞No165 2010年6月(乙32)
 「市議の任期開始後も、ネット上に超セクハラ満載の動画に実名で登場」「『薄井(市議)はエロキャスター』裁判所も断定!」「現市長支持の『セクハラ市議』をかばった現市長、またも汚点」
〔9〕多摩レイクサイドFM 2006年12月6日放送(乙33)
 「佐藤真和市議が、えー、公選法違反となることを知りながらですね、えー、あえて、えー、日野市に住んでいるにもかかわらず、生活しているにもかかわらず、家族4人の生活があったにもかかわらず、えー、日野市じゃなくて、えー、東村山市からですね、の市議会議員に立候補したという、まさに公選法違反そのものにあたると思いますが…早く辞職することを潔い態度をとることをおすすめしたいと思います。」
 (イ)原告らが、昭和63年12月から平成22年7月までの間において、争点(2)の被告の主張エ(イ)〔1〕~〔20〕のとおり、同僚議員、その支持者、裁判官、I事件の被告、T事件の原告等を批判していることは、原告らにおいて明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。
 これらの批判にどの程度根拠があったかについては、後記ウで検討する一部を除き、本件訴訟では十分な証拠が提出されていないが、その批判に当たり使用された文言及び回数については、例えば「ピーマン議員」「アホキピーマン」「心身症」「失語症」「ハエ男」「足の長さが足りなくて」「常軌を超える偏執」「偏執症?!」のように、口汚く(一部は、差別的でさえある。)、激烈であり、執拗であるとの批判が当てはまるものである。
 ウ(ア)原告らが当事者となった訴訟事件で、同被告の主張エ(ウ)a~dの判決(手を結ぶ市民のニュース事件第一審判決、超党派でつくる新聞事件第一審判決、I事件第一審判決、T事件控訴審判決)がされ、それらの判決は確定したことは、当事者間に争いがない。
 (イ)これらの判決の中で、手を結ぶ市民のニュース事件第一審判決は、「原告矢野は物事を自分本位に解釈する、また、自分の憶測を理屈づけるとの論評及び本訴記事4の一人の異常と思える人間との論評の前提となる事実は相応の根拠があるということができる。」「原告矢野は訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行するとの論評の前提となる事実は相応の根拠がある」「そして、パラノイアに関する論評は、上記各論評を前提にしたものであることからすると、表現自体はやや穏当さを欠くものであるが、当該論評の前提たる事実もまた相応の根拠があると認められる。」と判示した。
 エ(ア)他方、同原告らの主張エ(エ)の判決(第1次月刊タイムス事件第一審判決、第1次月刊タイムス事件控訴審判決、東村山の闇事件控訴審判決)がされ、それらの判決は確定したことは、当事者間に争いがない。
 (イ)第1次月刊タイムス事件第一審判決は、I事件第一審判決が指摘するとおり、原告矢野が証拠による裏付けがいささか弱いような事案であるにもかかわらず、訴えを提起したことがあったことは認めたが、昭和50年以降、数十件もの損害賠償請求や住民監査請求の訴えを提起し、勝訴したものもあることを認定し、結局、原告矢野がさしたる法律的根拠もなく民事訴訟を提起する人物であるとの事実は認められないと判断した。
 (ウ)a 第1次月刊タイムス事件控訴審判決は、原告矢野がさしたる根拠もなく訴訟を提起する人物であると信じたことに相当の理由があったか否かを検討し、〔1〕当該事件における被告が挙げるI事件、〔2〕超党派でつくる新聞事件における被告の尋問結果、〔3〕T事件におけるTに対する原告矢野の言動についての原告Tの本人尋問結果は、いずれも平成10年から12年にかけて行われたものであり、問題となった雑誌が出版された平成8年よりも後であるから、当該事件の被告らの相当性判断の基礎とはなり得ないと判断した。
 b しかし、平成19年にされた本件3投稿を問題とする本件訴訟においては、上記3つの根拠は、相当性判断の根拠として使用できるものである。
 (エ)a 東村山の闇事件控訴審判決は、明代死亡事件について、原告らがその著作物でした本件各記述中にはやや過激な表現も含まれているが、その内容はあくまでそれなりの根拠を示して警察及び捜査の責任者であった千葉副署長の捜査や広報のあり方を批判するというものであったのであるから、これが人身攻撃に当たり、意見ないし論評の域を逸脱したものとは認められないというべきであるとして、原告らに対する請求を棄却した。
 b 原告らは、東村山の闇事件控訴審判決はT事件控訴審判決の判旨を否定している旨主張するが、「控訴人ら(注・原告ら)において、本件窃盗被疑事件について明代が犯人でないことをうかがわせる証拠があると信ずるについて相当の理由がないとはいえない」として、警察の捜査や広報のあり方についての批判が名誉毀損にならないこと(東村山の闇事件控訴審判決)から直ちに、私人である「被控訴人(注・T)が創価学会や公明党と共謀の上、本件万引き事件をねつ造して故明代を罪に陥れようとしたとの事実」を「真実と信ずるについて相当の理由があった」ことにはならないものであるから(T事件控訴審判決)、上記原告らの主張は理由がない。
 オ(ア)意見ないし論評を表明する自由が民主主義社会において不可欠な表現の自由の根幹を構成するものであり、不法行為法上違法とならないことと、不法行為法上は違法ではない意見を表明した者が公選の公務員としてふさわしいか否かを判断するために、そのような意見表明がどの程度の根拠を有してされたか、その際の表現方法が過激なものかについて論評することは、別問題である。
 (イ)a この観点から上記イ~エの事実を検討すると、原告らの言動及び行動には、監査請求等による成果など馴れ合いに陥りがちな地方自治体の運営に市民の視点から活を入れるものがあったと評価できるものがあるが(前記エ(イ)及び甲9の1・2)、I事件の提訴、Tに対する攻撃など根拠が不十分なままされたものも混在していたものである。公選の公務員としての適格性を有するか否かを判断するに当たっては、不当な訴訟上の請求の存在は、それが多くの訴訟上の請求の全部ではない場合であっても、当然批判の対象となるものである。
 b また、他者に対する批判につき正当な根拠を有する場合であったとしても、表現方法における口汚さ、過激さ及び執拗さは、公選の公務員としての適格性を判断するに当たって当然考慮されるべき事項であるが、原告らには、表現方法の点で、厳しい批判を受けてもやむをえない点があったものである。


4 差止請求について
 争いのない事実等(5)のとおり、被告は、被告ブログ掲示板から本件3投稿を削除したが、この削除が本件訴訟が係属したため一時的にされたものであり、本件訴訟の結果次第では再び掲載されるおそれがあるとの事情も認められないから、本件3投稿の削除(送信防止)を求める原告らの請求は、この観点からも理由がない。

5 結論
 以上によれば、原告らの請求は、いずれも理由がないから棄却することし、主文のとおり判決する。



東京地方裁判所立川支部民事第3部
裁判官 市川正巳
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【2011/07/01 15:42】 | 裁判日記
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